土壌のプロが教える!明日から使える豆知識

すべての庭木、野菜、花で困るあなたへ 岐阜県 中津川市で庭の維持管理、消毒を行っています。 都立農芸高校卒、東京農業大学生産環境化学研究室 (旧土壌学研究室)学士修了。農業や栽培の基礎を学ぶ。 その後種苗メーカーの農場職員として7年間、 庭師を約2年間修業し、独立し現在に至る。 4000万株以上の栽培経験、1000回以上の消毒経験・植物の生長調整、総合的な環境管理・除草剤や防草シートを用いた雑草管理・肥料や農薬を用いた栽培計画の作成・発生病害虫の特定、対策・庭木の剪定。 近年の新しい取り組みとして楽しみ

有用菌 プランター農業 オリジナル培養土の中身とは11 

 

今日は目に見えない微生物について書いていきます。

 

微生物資材全般の効果としては、根の発達を促進することで、作物の健全化、増収、登熟向上、品質向上(日持ち、糖度、ビタミンB、C、アミノ酸、色素等)

地力向上、環境不良に強くなる、連作障害の軽減があります。

微生物資材ですが、はっきり言ってわかりません。

製品の品質に決められた条件があるわけでもなく、経験則で使われているのが実態です。

筆者の使い方としては、好気性菌と嫌気性菌に分けています。

好気性の菌として酵母菌、嫌気性の菌として乳酸菌と光合成細菌を使用しています。

作り方

酵母

水3ℓ(汲み置きして一日たったもの)黒糖90g ドライイースト120g

全て混ぜ合わせ1週間程度、毎日一回よく混ぜ合わせる。

その後、1ℓの木酢液もしくは酢を加えて、一週間程度置く。

ガスが出なくなったら発酵が停止したサイン。

乳酸菌

水3ℓ(汲み置きして一日たったもの)黒糖90g R1一本

全て混ぜ合わせ1週間程度、毎日一回よく混ぜ合わせる。

その後、1ℓの木酢液もしくは酢を加えて、一週間程度置く。

ガスが出なくなったら発酵が停止したサイン。

光合成細菌

3ℓの水に粉ミルク小さじ1杯、重曹20g、クエン酸小さじ1/4、田んぼから採取した赤い水(元菌)よく混ぜ合わせ、空気が入らないよう保存容器の口元まで液を入れ蓋をする。

一週間ほどで全体に赤くなり、どぶ臭くなったら完成。

筆者の使い方

月に一回程度、乳酸菌、酵母菌を500~1000倍に薄めて植物や土にかける。

葉の色つやや葉がシャキッとします。

光合成細菌

月に一回程度、500~1000倍土にジョウロで水やり。

通常の菌では分解できない、土の中の悪い物質が分解されて、死亡すると放線菌の餌となる。

土や植物を語るうえで避けては通れない。菌の話でした。

ありがとうございました。

 

 

木酢液 プランター農業 オリジナル培養土の中身とは10 

 

 

木炭を扱ったので木酢液について書いていきます。

 

木酢液とは、炭焼きの際に発生する煙から得られる液体です。

その成分は様々で200種類程度含まれています。

80~90%は水分、残りに酸などが含まれる。

酸類、 酢酸、ギ酸、酪酸、プロピオン酸

アルコール類 メタノール、ブタノール、アミルアルコール

中性物質 アセトン、パレロラクトン、マルトール

アルデヒド類 ホルムアルデヒド、フルフラール

フェノール類 クレゾール、グアヤコール、オイゲノール

塩基性物質 アンモニア、メチルアミン、ピリジン

木酢液は炭材が熱によって分解し、安定な成分になったものです。

だから炭材の種類によって大きな差はないです。

その成分の量は炭焼き方法、炭材の種類によって少しずつ異なってきます。

木酢液は三相に分かれた液体になります。

下段は、黒く粘っこい液体がとれる。これが木タールと言わてるものです。

中段は、赤茶色ないし黄褐色の液体が粗木酢液です。

上段には褐色の薄い油状の膜ができる。これは木タールの一部になります。

主に使うのは粗木酢液です。これを蒸留して得られるのが精製木酢液と溶解タールです。

精製木酢液がいわゆる市販の木酢液になります。

農業利用する場合は溶解タールは少ないほうが良いです。

では、買うときに溶解タールの少ないものを買わないといけません。

見分け方は色です。赤褐色で透明度の高いものを選びましょう。

黒いものは溶解タールが多いので避けたほうがよいでしょう。

置いておくと底に黒いものが沈殿します。

これは溶解タールなので混ぜずに上澄みを使うようにしましょう。

ちなみに黒い木酢液は除草剤や殺虫剤の代わりになります。原液で散布すると除草効果があります。

筆者の使い方

微生物の活動を活発化させるために、二年目以降の土のリサイクルや畑の収穫後に50倍の木酢液をジョウロで散布。

月に一回程度、200~500倍で植物にジョウロで水やり。

農薬に1000倍程度混合。農薬がよく混ざり、散布した植物にも均一に撒ける。ただ注意点としては、薬剤がアルカリのものへの混合はしてはいけない(石灰硫黄合剤やボルドー液など

月一程度、500~1000倍で植物の地上部へ散布

石灰や牡蠣殻を50倍液に漬け込み2週間程度置いておき、その駅を1000倍に薄めて散布する。がしっとした生長になる。

微生物資材の発酵停止剤として使う。30%ほど添加。

堆肥の消臭、発酵促進する目的で200倍液を水分調整に用いたり、散布する。

使用用途の広い木酢液です。

効果を知ると利用の幅が広がりますね。

ありがとうございました。

 

 

炭 プランター農業 オリジナル培養土の中身とは9 


 炭といればバーベキューに使用するイメージがありますね。

 

その性質から農業でも利用されています。

その歴史は古く1696年の宮崎安貞著「農業全書」巻の一に登場する。いろいろなものを蒸し焼きにした焼糞と下肥を混ぜたもの。水田にも小麦や野菜にも良い。こと豆に関しては比べ物のない肥である。

「百姓伝記」巻六にはわら灰をやると病気や虫がつかない。

蒸し焼きにしたものは一種の炭でくん炭に似たもののようです。

肥料や農薬がなかった時代には自然の力、微生物の力を最大限に生かした栽培技術が進んでいたようである。

微生物の活動や作物と共生する微生物の活性を高めることが分かったのはごく最近です。

炭の原料によって性質が異なります。一つずつ説明していきます。

この世界奥が深すぎるのであっさりと行きます

まず、大雑把に白炭と黒炭に分けられます。

白炭は、炭焼き温度が高く、硬く、煙が少なく、遠赤外線を多く発生させるため調理用に用いられることが多い。

黒炭、白炭と比べ炭焼き温度が低く、着火のしやすさ扱いやすさから、茶道、鍛冶、バーベキュー、料理、土壌改良剤様々に使われる。

土壌改良剤としては主に黒炭が使われます。

主な効果

①多孔質のため、保水性が向上する。

②粒子が土より大きいので隙間が多くなり、排水性が高まる。

③樹木に含まれる成分が炭化しミネラルとして供給される。

④pHが高い

①、植物の体には、水分を運ぶストローと養分を運ぶストローがあります。

これが炭になることでストローの集合体のような状態になります。このストローの部分には水をためることができます。この作用で土の保水性が向上します。

②、土の粒子よりも大きい炭が混ざることで、炭と土の間の水が下へ流れやすくなり排水性が向上します。

③、植物の体は様々な成分でできています。その成分を利用するために腐らせたり、細かくしたりするわけですが、もっともロスなく手に入れるには焼くのが一番です。

焼くことで植物に含まれるミネラルが水に溶けるようになり植物へ供給されます。

④pHがアルカリ性で8~8.5あります。酸性を改良するために使用できます。

それではどんな炭があるか述べていきます。

のこくず炭

スギ、ヒノキ、外材などの針葉樹およびラワン材ののこくずが原料。

大型の炭焼き炉が使われ高温で炭化させてあり、白炭に近い。

のこくずなので非常に粒子が細かく、飛び散りやすい。

pHが高い8.5程度

大規模につくられるので品質が安定している。

細かいため表面積が大きく、土壌中の微生物を活性化しやすい。

樹皮炭

製造方法で品質にばらつきがあることが多い。

pHは8.5~9.0程度

粒子が大きく、穴も大きい。微生物の中でも糸状菌が好む。

木酢液と混合して発根促進や土壌病害抑制の目的で使われる。

もみがらくん炭

おそらく炭製品の中で最も手に入りやすい資材である。

pHは最も高く10を超えることもある。

リン酸やカリが多く含まれる。

ざっとそれぞれの性質を述べてきました。

ここからは実践編です。

筆者の使い方

手に入りやすいのでもみがらくん炭をすることが多いです。

培養土にMAX20%まで添加。最初は、アルカリ害心配していたが、むしろ好調なくらい。単純なカルシウムのみでのpHの上昇ではないからと考察しています。含まれるカリウムもpHはものすごく高いので。

畑 15ℓ/㎡施用。土が柔らかくなり、苗を植えた時の根張りがよくなる。pHが心配であれば降雨を待ってから植え込みを行う。

アルカリ分が心配な場合、くん炭と木酢液200倍液を同量バケツに入れ3日ほど放置する。その後、液を取り測定。6.5程度になったら水を切り使用する。漬け込んだ木酢液も10倍ほど薄めて水やりに利用する。くん炭自体のpHも下がるし、木酢液にミネラルが溶け出しているので無駄なく利用できる。

いかがでしたでしょうか。

よく目にする炭ですが実はすごいやつです。

余談ですが、消臭剤、床下調湿剤、水質浄化、融雪剤等様々な使われ方をしている炭です。

今後の活躍に期待ですね。

ありがとうございました。

鉢底に敷くだけじゃないの!?軽石 プランター農業 オリジナル培養土の中身とは8 


 あまり使われることのない軽石の話です。

 

筆者よく軽石使います。説明していきます。

軽石の原料はマグマです。地下深くから地上へ上がる際に圧力が下がることでマグマ中に含まれる水等が発泡して多孔質になったものをいいます。

性質は、通気性、排水性に優れます。サボテンや観葉植物、ラン、山野草に用いられます。

一般的な使い方として、大粒のものを鉢の下に1cmほど敷き排水性を高め、通気性を確保する方法です。

サツキなどでは小粒のものを鹿沼土、日向土と腐葉土を混ぜて作られるのが一般的でしょう。

ここからは筆者の使い方です。

軽石のもっと使い方の幅が広がらないかと研究をしました。

当たり前のことかもしれませんが、軽石はかなり水を含みます。そして軽石間の隙間が大きいため排水性も高いです。

このことから、古くなり排水性が落ちた培養土や老木になった樹木の土壌改良に使えるのではないかと考えました。

パーライトと一緒ではないかと考える方がいらっしゃいますよね。

しかし、似たような性質でも軽石のほうが重いんです。

土に求められる性質として、水分を供給する、養分を供給する、微生物の住みかとなる、植物を支える。この四つがあります。

土は、軽くなればなるほど植物を支える能力は下がります。パーライトを入れてしまったら軽くなりすぎてしまうが、排水性、通気性は確保したい。そんな時は軽石の出番です。

古くなった培養土に10%程度加えると水はけが向上し、土も柔らかくなりました。

樹木の土壌改良に軽石を使用することでなるべく軽くせずに通気性、排水性を確保することができました。(その他改良剤も併用です)

もう一つ使いやすい点は、肥料分などはなく、ただ排水性など物理性を向上させることです。

水はけなどをよくするには堆肥を加えてもいいです。しかし、堆肥には肥料分が含まれます。多く入れすぎることで土の栄養バランスを崩すことがあります。

その点、軽石は余分な肥料を含まないので、ただ物理性を高めるという一点にのみ効果を発揮してくれます。

効果を限定してシャープに利かせることができるというのは、汎用性に優れる最大の利点となります。

ぜひ、軽石使ってみてください。

筆者は、ネギ、トマト、ナス、レタスをプランターで作る際には必ず入れるようにしています。

細かくなりにくいので、一回入れると数年は追加で入れなくていいのもいい点です。

余談ですが、軽量コンクリートの骨材として使われています。

古代ローマ時代に用いられていたローマン・コンクリートの骨材として利用されていました。

やっぱり農業って面白い。

 

石灰 プランター農業 オリジナル培養土の中身とは7 

 

鹿沼三兄弟編で少し触れた石灰について話していきます。

プランター農業で使用する主な石灰資材は、石灰窒素、苦土石灰、硫酸カルシウムになります。

それぞれに特徴もあり、種類も豊富なので良い機会ですから石灰全般で話していこうと思います。

石灰に求められる効果は大きく分けて二つになります。

①肥料としてのカルシウムの供給

②土壌のpHを適正に保ち、肥料の吸収を円滑に行わせる。

有機物の分解促進

④有害微生物の繁殖抑制

①理由は、植物の生長に欠かせないものです。植物の中にある酸を中和しペクチン酸と石灰が結合して細胞膜を作ります。植物の体を作る骨格となります。

次にたんぱく質の合成に石灰が必要になる。

根の生長に石灰が有効である。

まとめると、植物の全身を構成するために必須の成分となります。

②の理由は、土の酸性を矯正し、有害なアルミニウムを不活性化、使えなかったリン酸を使えるようにする、微量に必要な金属類の吸収促進など。

不必要なものを無害化し、必要なものを吸収しやすくする効果があります。

③土の中に含まれる有機物の分解を促進し、土壌をふかふかにし水はけや保水性を向上させる。

④pHが急激に変化することで病原微生物の繁殖を抑制する。

この点から、石灰資材は土壌の生産性を上げるために必須の成分である。

石灰は製法や成分で三つに分類されます。

グループ① 生石灰消石灰、炭酸石灰、苦土石灰

グループ② 副産石灰、混合石灰、貝化石肥料

グループ③ 貝殻、貝化石粉末

それぞれ述べてみます。

グループ①

生石灰 アルカリ分が80~95%、く溶性マグネシウム27~30%含まれる。石灰岩を熱し炭酸ガスを放出したもの、土壌に対する酸性中和能力が最も高い。土の中で激しく反応し他の石灰資材では上げにくいpH7以上へすることもできるため、土壌病害対策もできる。水を加えたのち消石灰の状態で施用する。ただし、植え付けの14日前から施し、反応を終わらせたのちに作付けしないと植物が枯れることがある。肥料は一緒に施用してはいけない。チッソとリン酸が損失する。保存中に湿気たり、水にぬれると激しく発熱するため取り扱いには注意が必要である。なるべく使用しないほうがよいでしょう。

消石灰 アルカリ分60~70%く溶性マグネシウム5~20%を含む。生石灰の量の1.3倍施用する必要がある。生石灰に水を加えて反応させたものです。生石灰と同様に、撒いてすぐの植え付けは出来ない。14日程度前に施すとよい。生石灰と同様、窒素とリン酸の損失が起きるため肥料は同時に入れてはいけない。その際に生石灰より酸性矯正能力は劣りますが、発熱しないので取り扱いが簡便である。しかし、湿気を含むと石のように硬くなり保存性はあまりよくない。

炭酸石灰 アルカリ分53~55%く溶性マグネシウム3.5~11%含む。生石灰の1.5倍施用する必要がある。石灰岩を砕いたもので原料の違いからマグネシウム量が異なる。グループ①の中では酸性矯正能力はやや劣る。やや効き目は遅いが粒子が細かいほど効果は早い。土壌中の反応がゆっくりなため、土壌との混入後は肥料や植え付け、種まきをしてもかまわない。樹園地や牧草地など耕せない場所では炭酸石灰が適しており、表面に撒くだけでよい。野菜畑では下層土が酸性化することがあるので深耕する際にも利用できる。水にほとんど解けず、吸湿性もないため取り扱いが非常に簡便

苦土石灰 アルカリ分55~100%く溶性マグネシウム10~35%。生石灰の1.5倍施用する必要がある。炭酸石灰と炭酸苦土を含むドロマイトを粉砕したもの。緩やかに効き目がある。炭カル同様非常に使いやすい。土壌との混合後はただちに肥料、植え付け、播種してもかまわない。粒子が細かほど効果は早く出る。炭カル同様吸湿性がほとんどなく取り扱いが簡便である。

グループ②

副産石灰 アルカリ分35~80%く溶性マグネシウム1.5~5%。消石灰か炭酸石灰が主成分となり、主成分によりそれぞれの性質を持つ。それぞれについてはグループ①を参照願いたい。マグネシウムが少ないので必要であればマグネシウムを追加する。各種化学工業の副産物である。水酸化カルシウムか炭酸カルシウムである。

混合石灰 ①炭酸石灰、生石灰消石灰、副産石灰の4種類を2種類以上混合したもの。②石灰分を含む泥状物に生石灰を加えたもの。③上記の4種類各々に土壌中で混ざりやすさや反応を緩やかにする材料を使ったものに分けられます。それぞれの主成分によりグループ①と性質は同様である。

貝化石石灰 貝化石を粉末にし、粒にしたもの。主成分を35%以上含むものをいい、貝化石粉末と区別される。炭酸石灰と同様であるが、土砂、有機物、微量要素を含むため品質を重視する野菜、チャ、果樹などで用いられている。いろいろな効能が挙げられているがその機能については不明な点が多い。

グループ③

貝殻粉末 各種貝殻を粉砕して製造される。主成分は炭酸石灰なので性質は同様である。

貝化石粉末 貝化石を粉末にしたもの。アルカリ分は3~53%とばらつきが大きいため35%以上のものは貝化石石灰と呼ぶ。炭酸石灰と同様であるが、土砂、有機物、微量要素を含むため品質を重視する野菜、チャ、果樹などで用いられている。いろいろな効能が挙げられているがその機能については不明な点が多い。

石灰は土により効き目が異なります。

大きく黒ボク土と非黒ボク土に分けられます。

一般的に黒ボク土は酸性化が進みやすい土壌なので石灰の効果が大きい。

砂質土壌は降雨により肥料が流れやすいため石灰の効果は早く表れる。

粘土質土壌では、肥料が流れにくいため石灰の効果が長く続きやすい。他の土と比較して石灰の効果は顕著ではない。

実用的な使い方だが、一般向けにまで落とし込むのは非常に難しい。

農家であれば、年1回から2回の土壌診断に基づいた施肥量を決めればよい。だが、一般の方で土壌診断を受けることはコスト的にも非常に難しい。1サンプル8000~25000程度は覚悟する必要がある。

では、どうすればいいか。

簡単、安価なもので良いのでpHメーターの購入を勧めます。

まずは、測定をしてみてください。

基本的には6.5~6.8程度であれば石灰の量としては十分だろうと思います。

入れる必要はないでしょう。

6.5以下であれば石灰が必要です。一回50~100g/㎡から試してみて6.8まで目指すといいでしょう。

7.0を超える場合には必要はありませんが、一部の植物以外では高すぎです。一般的には硫黄を入れますが1か月以上使用できなくなってしまうので、ピートモスを30ℓ/㎡程度混ぜるか木酢液200~500倍を2週間に1回水やりするとよいです。

私もやっている改良を下に記しておきます。

マグネシウムの補給とすぐ植え込める特徴と吸湿性がなく取り扱いが簡便な苦土石灰をよく使います。

培養土なら土1ℓに対して0.6gの苦土石灰

よく混ぜて、pHメーターで測る。恐らく0.5程度上がっていると思います。

今度は1g入れて同じことをする。

ここで6.5~6.8程度になっていればオーケーです。

畑であれば100g/㎡ずつ入れて測ってを繰り返します。

もし、怖ければ入れる量を減らして混ぜる回数を増やしてください。

ホウレンソウなどの好アルカリ植物はさらに混ぜて7.2~7.5を目指すといいです。

エンドウなどは7を超えていたほうが連作障害が低減できます。

この石灰を混ぜる操作は慎重に行ってください。最初は0.5ずつ程度上がっていたものがある程度入れると同じ量でも1ないし1.5上がることがあります。土質に大きく影響されます。

注意点ですが、石灰のことばかり考えているとマグネシウムのことを忘れがちです。

石灰を考える時にはマグネシウムも考慮しなくてはいけません。

畑であれば、pHが目標に達していても、50g以下/㎡を混入しましょう。

このぐらいの量であれば、そこまで大きくpHを変えることはありません。マグネシウムの補給と思って行いましょう。

プランターなどの植木鉢ですが、土も少なく、水やりも畑よりは少ないと思います。石灰があまり消耗しません。なので、少しの石灰で土のpHが上がってしまいます。

pHが目標のレンジに収まっていたらどうするか。

農家が使うようなマグネシウム資材はなかなか手に入りません。そこでスーパーに売っているにがりを1000倍程度に薄めて土にたっぷりとかけてください。にがりの主成分であるマグネシウムが土に混ざります。あとは、植えこんでみて葉が濃い緑と薄い緑のまだら模様が出始めたらマグネシウムが足りていません。またにがり1000液をたっぷり撒いてみましょう。

症状が消えていれば時々にがり水をかけてあげるといいでしょう。(月1程度)

どうでしたでしょうか。

とっても大事な石灰の話でした。

ありがとうございました。

農薬?肥料?窒素?不思議な石灰窒素の話 プランター農業 オリジナル培養土の中身とは6 

農薬でもあり、肥料でもあり、石灰でもあり、腐熟促進剤でもある不思議な肥料「石灰窒素」について書いていきます。

 

途中で読むことをやめてしまうと大きな誤解を生みます。必ず最後までお読みください。

その歴史は非常古く、1895年にはじめて合成された。その特異な特徴から今でも重要な窒素肥料であるし、石灰肥料でもある。

主成分はカルシウムシアナミド60%と窒素21%を含むため、硫安と同程度、消石灰と同程度の肥料がある。

農薬としての効果。

土に混ざると、水分と反応してカルシウムシアナミドからシアナミドに変化します。このシアナミドが生物に対して有毒で、種子に触れれば発芽を阻害し、葉にかかれば枯れる。逆にこの特性を生かせば、土壌中の病害虫や雑草を防除することに役立つ。秋に使用すると種が春と勘違いして一斉に発芽しその後の霜で枯れるという効果もある。

肥料としての効果。

シアナミドは土の中でさらに分解されると、肥料である「尿素」に変わります。この尿素はさらにアンモニアへと変化します。この後に速効性のあるチッソに変化しますが、この変化をゆっくりにする効果があるため緩やかに植物へ供給されます。

窒素と石灰が含まれるため、有機物の腐熟を促す作用があります。

ここで具体的な使用方法です。

注意点として、必ず直接触れないように注意してください。ゴム手袋、長靴、マスクをしましょう。風の強い日は避けたほうがいいでしょう。

畑であれば20g/㎡、培養土であれば0.2g/ℓを基本とします。

pHメーターで測定し、7.0以上ある場合には使用しないほうがいいでしょう。

6.5程度であれば基本の量、6.8程度なら基本の半分程度混ぜてください。

よく混ぜ合わせ、夏なら7日、冬なら10~14日置きます。

その後pHを測り、7.0より下回っていれば問題ないです。

堆肥や残渣を漉き込むときに使う方法です。

堆肥1キロ当たり20~40グラムをよく混ぜこみ、切り返しをしながら腐熟させる。3~5か月で完成する。

緑肥や残渣をすきこむ際には20~60g/㎡を振りまいたのちによく耕す。

筆者の使い方

トマトなどが終わった後に、石灰窒素を振りまいて寝かせておき、しっかりと農薬としての効果を引き出す。

一度使用した培養土に、堆肥を投入し、石灰窒素も一緒に入れる。前策の病気や、害虫を殺すとともに、万が一堆肥が未熟だった場合の害を未然に防ぐ。

有毒であったり、取り扱いに注意が必要な資材ではあるが、正しく使用すればとても素晴らしい効果のある資材です。培養土の再生や土の病気が増えてきた際にはぜひ使用したい資材の一つである。

堆肥 プランター農業 オリジナル培養土の中身とは5 


 プランター農業で使用する堆肥はバーク堆肥と牛糞堆肥を半々で混ぜ合わせたものを使用します。一口に堆肥といっても様々な種類がありますので堆肥全般について書いていこうと思います。

 

堆肥の種類は、主となる原料で分類されます。

原料には、牛糞尿、鶏糞尿、豚糞尿、樹皮、おがくず、かんなくず、藁、草木、もみがら、みかんの果皮、コーヒーかす、パルプくず、剪定枝葉、焼酎廃液、廃菌床等になります。

それぞれの特徴を詳しく書くと一冊本ができそうなのであっさりと触れていきます。

牛糞尿 特に水分が多く、肥料成分が少なく、繊維質に富む

豚糞尿 水分は牛糞と比べて少なく、窒素やリン酸が多い、繊維質はやや乏しい

鶏糞尿 牛、豚糞と比べて最も水分が少なく、窒素、リン酸、加里、カルシウムが多い堆肥というよりは肥料というほうが近いかもしれません。分解速度が速く繊維質が乏しい。

樹皮、おがくず、かんなくず

繊維が最も多く、丈夫。非常に腐りにくい。生育を阻害する物質を含む。野ざらしにし有害物質を洗い流し、繊維がほどけ易いようにする。おもに家畜糞尿に混ぜられるか、飼育場所の敷材に使われる。腐りにくいため、発酵助剤として使われることが多く、それ単体での製品は少ない。

藁、草木。地域によりバラつきが大きい。繊維が多く、肥料分は乏しい。それ単体での堆肥化は難しく、家畜糞尿と混ぜたり窒素成分を添加してやる必要がある。

もみがら 家畜を飼うときに使われる敷材(おがくず、稲わら)が不足してる現代において敷材として広く使用される。よって家畜糞尿と混ざった状態となる。稲わらと違い隙間が多いため水分調整が容易である。わらなどと一緒でそれ単体では堆肥化し難い。

みかんの果皮。缶詰加工時に発生する外皮と内皮、ジュース加工されたカスを原料とする。一部実用されているが、ほとんど利用されていない。そのほとんどを埋め立て処理される。特徴としては窒素分が多い。研究がほとんどされておらず施用効果はわからない部分が多い。

コーヒーかす。インスタントコーヒー製造の際に排出される。成分として分解されやすいが生のまま施用すると植物が育たない。そのまま野ざらしにしても堆肥化は進まない。分解しにくいバーク等に混ぜる必要がある。

パルプかす。製紙する際の様々な薬品が残っていることが問題。一般消費者は使わないことをお勧めします。

剪定枝葉。品質によりばらつきが大きい。小さい粒度で発酵させたものはバーク堆肥と同等の効果がある。大きい粒度のものは果樹などで排水性の改良に使用できる。

焼酎廃液。蒸留後に得られる廃液である。全体の2割が農業に利用され、1割が飼料に、約5割が海洋投棄される。(2007年)現在は異なるかもしれません。そのままでは液体で、品質もバラつきがあり、そのままでは使用しにくい。ほかの資材と混ぜても品質を低下させるなど難しいところである。個人的な意見だが、酢酸等の有機酸を多く含むため薄めて葉面散布や土壌に撒くことで面白い効果があるかもしれない。主な発生地域が九州であるのが悔やまれる。

廃菌床。きのこ生産に使われた培地残渣。腐敗が早く、取り扱いが非常に難しい。新鮮な状態で浅く漉き込むなど方法はあるが、一般消費者が新鮮な状態の廃菌床を得られるとは考えにくい。

それぞれの特徴や特性を組み合わせて発酵させ市販の堆肥が出来上がります。

一般的に市販で手に入る堆肥の主なものは、

牛糞堆肥

豚糞堆肥

鶏糞堆肥

バーク堆肥(木質原料)

パルプくず堆肥

おから堆肥

それぞれを混ぜた複合堆肥になります。

 

そもそも、なんで堆肥を入れるようにになったのでしょうか。

昭和59年にさかのぼります。

地力増進法が施行されました。土壌改良資材の品質と作物を生産する能力(地力)の増進と経営の安定のためです。

その当時の農地は、過剰な施肥により土の養分が増えすぎて植物が育ちにくくなるという問題を抱えていました。温暖で多雨な気候も影響を与え養分の流亡、有機物の分解促進など土が痩せていく条件を満たしていました。

その中で土壌改良資材としての堆肥が注目されました。

分解されやすい土壌中の有機物の減少を堆肥を入れることで補給していこうと考えたからです。

有機物の効果は、土壌の通気性、排水性、保水性、保肥力、緩やかに肥料を手放す、微生物の住みかとなる等作物への貢献度は非常に高いものになります。

そのことを踏まえて、各堆肥の特徴と使い方を見てみましょう!

市販で手に入る堆肥は牛糞堆肥、豚糞堆肥、鶏糞堆肥、木質入り堆肥、バーク堆肥、もしくはそれぞれを混ぜ合わせたものになります。

牛糞堆肥 家畜糞の中で最も穏やかな堆肥。含有する肥料はゆっくりと効果を現し、繊維質が多いことから土を柔らかくする効果も長い。敷材の都合上、おがくず、チップ、もみがら等混入してあり、それも堆肥の効果を長くしている一因である。

豚糞堆肥 牛糞堆肥よりも肥料分を多く含む、その肥料の量は有機質肥料といっていい。2キロ/㎡を混入した場合には、肥料としての元肥は半分から1/3程度減らすほうがよい。むしろ豚糞堆肥のみ混入し、追肥で調整するとよい。

鶏糞堆肥 家畜糞のなかで最も肥料成分が多い。他の堆肥と同じ量を施すとまず間違いなく過剰である。堆肥というよりは肥料として扱うほうがよいだろう。最初に1000~800g/㎡混入したら元肥は入れず、追肥で調整したほうがよいでしょう。鶏糞だけだと投入される有機物が少ないので牛糞堆肥もしくはバーク堆肥を1~2キロ/㎡と組み合わせる方法がある。特に取り扱いが注意な資材である。臭いがきついが臭いがあるうちに畑に漉き込んでしまうほうが肥料効果が望める。臭いの原因がアンモニアなため土の中で肥料に変わる。

木質入り堆肥

おがくずや木チップが入った堆肥です。それ単体での堆肥はなく、鶏糞、豚糞、牛糞と混ぜ合わせたものである。市販されているこういったたい肥は、表面は堆肥化し問題ないが中はまだ生の状態である。入れてから3か月程度で肥料を手放していくが、秋に大量に入れると肥料が効きにくくなることがある。よって入れる時期と量には気を付けたほうがよい。

ただ、分解が非常に遅いため有機物として土の中にとどまる時間は他の堆肥の比べ物にならない。よって、土を柔らかくし、排水性、保水性を高めるにはうってつけの資材である。

バーク堆肥

樹皮からつくられる堆肥である。家畜糞や尿素、硫安などを添加してつくられる。

施用量は2キロ/㎡程度である。木質入り堆肥と同様に土の中で分解されるまで非常に時間がかかる(3~5年)そして最大の特徴は3~5年の間そのものが鹿沼三兄弟の約8倍の肥料をつなぎとめることができる点である。

ここからは筆者の使い方だが、

春には、牛糞堆肥と木質入り堆肥またはバーク堆肥を半々で混ぜ2キロ/㎡入れ、通常通り肥料を入れて使う。

秋は、豚糞堆肥と半々に混ぜ2キロ/㎡入れる。

このことで、仮に肥料が効きにくかったとしてもその他の家畜糞からわずかながら肥料成分が得られることで±0もしくはすこし+の状態を意識して使っている。

この使い方なら、堆肥からの肥料も利かせつつ、重要な役割である有機物の供給という二つの課題をクリアーできる。さらにバーク堆肥を使用すれば保肥力も追加することができる。

長い投稿になってしまいましたがどうだったでしょうか。

すべて同じ「堆肥」という名前になってしまいますが、そのうちは様々です。

土の資材も長所があり、短所があります。

皆様の土の状態に合わせて使い分けてみてはいかがでしょうか。

不安な点や不明な点がありましたらお気軽にコメントしてください。

ありがとうございました。