微量要素肥料+ケイ酸 ケイカル FTE プランター農業 オリジナル培養土の中身とは17
微量要素肥料について書いていきます。
鉄、マンガン、銅、亜鉛、モリブデン、ほう素、塩素の7種類があります。
それぞれの説明していきます。
鉄 呼吸や光合成の際の酸化還元反応に関与します。通常土壌にはたくさんの鉄が含まれているため欠乏することがほとんどないがpHが極端に高くなったり、リン酸が多く蓄積していると欠乏症を引き起こすことがある。
マンガン 植物体内で酸化還元反応や転移反応、脱炭酸反応、加水分解反応などに必要な成分。pH6.5以上では欠乏症を引き起こしやすく、pHが6.5より下がったり蒸気消毒などの加熱により一時的にマンガンが吸収しやすくなり過剰症を引き起こしやすくなる。
pHをしっかりコントロールできていれば大きな問題にはならない。
銅 植物体内の酵素の重要な成分。酸化還元反応やたんぱく質代謝に関係する。pHが高まると吸収を妨げ、腐植を多く含む土壌では欠乏症が出ることがある。
亜鉛 葉緑素の合成やβーインドール酪酸の生成に関与する。βーインドール酪酸は植物ホルモンのオーキシンになります。オーキシンは根や芽の伸長に関連します。pHが高まると吸収しにくくなる。最近では家畜糞に含まれる銅や亜鉛が畑に持ち込まれることが多くなっている。
モリブデン 植物にとって最も必要量が少ない成分。硝酸還元酵素の成分元素となっている。
ほう素 植物中のリグニンやペクチンの形成、糖の移行に関与する。植物によって要求量は著しく異なる。少なすぎても欠乏症、多すぎても過剰症となるため施肥には十分に注意が必要である。
塩素 葉緑素中の光合成に関与している。塩安や塩化加里など多量要素を肥料として与えた時に随伴して施用されるため、欠乏することはほとんどない。
小難しい説明が続きましたが、まとめると「~の合成に関わる」です。合成に関わる材料は多量要素、その合成を助けるのが微量要素という理解で概ねOKです。
そして、そのほとんどが金属であるために肥料としての性質は、土壌の酸度「pH」が大きく関係することになります。
酸で金属が解けるイメージで良いと思います。
筆者の微量要素、利用方法
基本的にはあまり使用しません。
まずは、しっかりpHを測定し、石灰等を使用して適正値(6.8程度)を維持します。
ただ、3年、4年と再利用を繰り返した培養土、畑では予防を兼ねて施用することがあります。
クミアイF.T.Eを使います。
培養土なら0.4g/ℓ、畑なら60g/㎡を施用します。
生科研のメリットMを300~500倍で植え付け前の土壌にかん水します。培養土なら2ml/ℓ、畑なら200~300ml/㎡を通常2~3回ですが、筆者は1回にしています。その代わり、植物の様子を見ておいて1000~2000倍で葉面散布を併用します。
最後に番外編としてケイ素を挙げておきます。
ケイ素 肥料としては必須の元素とはなっていません。しかし、稲などを代表するイネ科植物は多量にケイ素を吸収します。ケイ素は、植物の組織強化、耐病性向上、水分蒸散作用の調節に携わっています。
田んぼではケイ酸カルシウムがよくつかわれ、稲が実ってからの倒伏を防ぎます。
畑でも、使用できます。ただ一般的なカルシウム資材よりも酸性改良能力がゆっくりなため、一般的な石灰資材との併用もお勧めします。
使用量は土により大きく異なります。
ケイカル資材を用いたpH1.0(5.0→6.0)上げるための施用量目安
砂地では30~50g/㎡
砂と粘土が混ざった土 100~200g/㎡
淡色黒ボク土 150~200g/㎡
腐植質黒ボク土 250~300g/㎡
多腐植質黒ボク土 500g~600g/㎡
培養土では1.5~2g/ℓ
あくまでも目安ですのでお気を付けください。
いかがでしたでしょうか。
植物でいうところのマルチビタミンなお話でした。
ありがとうございました。
イオウ プランター農業 オリジナル培養土の中身とは16
今日は植物の肥料なの?イオウの話です。
温泉地などで卵の腐った臭いがするあのイオウです。
ちなみにネギ類が腐るとすごく匂うのもイオウのせいです。硫化アリルという成分がかかわっています。
植物の体の中でたんぱく質や原形質の構成に関わる成分です。
植物は、硫黄を硫酸イオンとして根から吸収し利用します。
根から吸収されたイオウは素早く前進に移動します。その後、生長が盛んなところへ集積します。
いったん集積するとほとんど移動しにくくなります。
欠乏症は移動できるイオウが無くなった後に起こるため成長が盛んな芽とその付近の葉で出やすくなります。
植物により症状が異なるので一概に言いにくいところではあるが、植物の上部から緑色が淡くなり生長が遅くなる症状や葉の周縁が紫色になる場合もある。
窒素欠乏症と似た症状になるが、症状の出方で判別するとよいでしょう。
イオウは土を構成する鉱物中に含まれ、雨風にさらされ風化することで植物が利用できる形となります。
石炭や石油が燃える際に大気中へ硫黄がSO2の形で放出され、雨により大気から洗い流され植物に必要十分な量が供給される地域も多い。(1975アメリカ)
イオウは土壌中でその多くが硫酸イオンの形で存在します。
この硫酸イオンは雨で洗い流されやすいです。
普通の家庭菜園であれば、一般的な化成肥料の中に窒素かカリウムを配合するときに副成分として含まれます。(硫安や硫酸加里等)
意識して施す必要はないでしょう。
筆者の使い方
pHを減少させたいとき、硫黄華を砂~粘土質:50~300g/㎡添加し1か月以上置いて作付けする。(ブルーベリーや茶の植え付け)
置く時間は長いほど良いです。硫黄が徐々に硫酸に変化しながら土を酸性化させます。
この処理は入れすぎの場合の取り返しがつきません。少ない量から始めてください。
芝生
硫安を水に溶いて液肥として散布します。
硫酸が入ると芝生に生えるコケや藻を防ぐ効果があります。
上の写真の現場では液肥をオリジナルで配合して管理していました。
上記表の成分を500mlの水に溶いて500倍に薄めて使用しました。
この配合は、芝を張って一年目の現場の場合です。
二年目以降は様子を見ながら尿素、リン酸、カリウム、苦土を削っていき、硫安単体にする予定とします。
硫安のみで生育が思わしくなければ鉄資材を入れていきます。
もちろん、コアリング、水やり、目土、芝刈りは通常通り行った上でです。
芝生は、他の植物と違って見た目が命です。
そして、お客様が考える要求も非常に極端になります。
常に青々として、伸びにくく、管理が楽にですね。
常に青々として、伸びにくくするには、窒素のみを供給して、リン酸とカリを極端に削る。
リン酸とカリが少なくなることで縦方向に伸びることが制限されますが、窒素があることで葉は青々とします。
そして伸びにくくなることで芝刈りが楽になります。
これまでの肥料の話の応用ですね。
ちょっと複雑なイオウの話でした。
ありがとうございました。
マグネシウム プランター農業 オリジナル培養土の中身とは15
今日はマグネシウムについて触れていきます。
マグネシウムは植物体内を移動しやすい成分で葉緑素やリン酸代謝に関わる酵素の成分としてリン酸・エネルギー代謝に関与している。
要は、緑色の原料と育つエネルギーを作り出す成分。
岩石の風化により含まれていたマグネシウムが溶出し植物に利用される。
欠乏症は非常に判別がつきやすい。
黄色に変色するが葉脈だけ緑色のまだら模様になる。
筆者のマグネシウム欠乏の回避の方法
pHが低い土なら苦土石灰を用いる
pHが高いもしくは、適正値の場合には、にがりを1000倍に薄めて水やりをする。
ロットが大きいことと使用量が多くないため、マグネシウム単体の肥料の入手は家庭菜園では必要ないでしょう。
症状が解消されればそれ以上の処置は必要ないです。
ありがとうございました。
カリウム プランター農業 オリジナル培養土の中身とは14
今日はカリウムについて触れていきます。
カリウムは植物の体内で水に溶けた状態で存在します。葉の蒸散や細胞の浸透圧調節、原形質の構造維持、光合成やデンプン合成、タンパク合成などに関与する酵素系の活性化、光合成産物の貯蔵器官への流転に関与する重要な成分です。
窒素、リン酸については天然ではほとんど手に入らないが、カリウムは天然での供給量が多く肥料をやらなくてもある程度維持できる。
窒素やリン酸と異なり有機態という形はほとんどとらず、無機態として存在している。
4種類の形態があります。
水溶性カリウム 最も植物に利用されやすい
交換性カリウム 一定の濃度の薬液によって抽出される。このカリウムの中には水溶性カリウムも含まれる。
固定態カリウム 粘土の中に固定されているもの。植物はほとんど利用できない。
非交換性カリウム 土壌中に最も多く存在している。岩石や砂の構成物としてのカリウム。風化しやすい岩石に含まれるものは徐々にカリウムを放出する。
農耕地では堆肥を使用しているため、カリウムが随伴してが入っているはずである。
追加で施用する場合には土壌診断を参考に行うほうがよいです。
塩基バランスと塩基飽和度80%を目安に施用量を決めましょう。
特に、降雨の影響がない施設栽培では注意が必要です。
ちなみに塩基バランス崩れたらハウスの屋根を取り外して雨に当てるか、緑肥作って持ち出すしか思いつかない。。。。
あとは、天地返しとも思うけど、もし塩類障害を併発していたら下層に高濃度の土壌が分布するのはのはどうなのかしら。まあ、なるべく乾かさないようにすれば問題ないのか。やってみなきゃわからねー
畑なら天地返しが簡単か。
家庭菜園など個人で楽しまれている方は、配合肥料を使用している場合がほとんどと思います。
カリウムが配合されているものがほとんどなので、意識して考える必要はないです。
強いて言えば、時々、トウモロコシを作るといいですね。
筆者もこの記事を書いていて気が付きましたが、天然の供給量が多いというのは驚きでした。
天然の供給量があるにもかかわらず、肥料としても必要な場合がある。
それだけ植物が吸収しているということですね。
真面目に考え出すとちょっとめんどくさい成分です。
塩基バランスが乱れると修正するのは厄介だし、溶脱もするけど、土に吸着されるし、贅沢吸収されるし。
土壌診断は大事!ってことだね!
ありがとうございました。
リン酸 プランター農業 オリジナル培養土の中身とは13
今回は必須の元素であるリン酸をピックアップしていきます。
リン酸は、植物の細胞の中で遺伝子情報や細胞質内の水分調整、栄養素の貯蔵、エネルギーを作り出すためなどに利用される非常に重要な成分です。
窒素と同様に、有機態リン酸と無機態リン酸に分かれます。
無機態リン酸は、有機態リン酸が分解されたり、化学肥料中に含まれるリン酸です。
無機態リン酸は、土の中に入るとその他の成分と結合し肥料としての効果がなくなってしまう難溶性リン酸と植物が利用できる可給態リン酸に分かれます。
植物を育てるには有機態リン酸と可給態リン酸を増やす必要があります。
可給態リン酸よりも圧倒的に難溶性リン酸になるもののほうが多くなります。
まず、化学肥料を使って難溶性リン酸になるものすべて結合させます。
すると、その後に出てくるリン酸は可給態リン酸になりやすくなります。
畑の最初のころはうまく出来ず、5年ほどすると植物が育っていくということをよく聞きます。
筆者は、このリン酸の可給態化が原因ではないかと考えています。(石灰もかかわっていますがここでは割愛します)
筆者の使い方
初めて畑にする現場では、リン酸を標準量の1.5倍から2倍程度施用し、作付けをします。
それでも足りない場合にはさらに増やしていきます。
ある程度育つようになったら今度は標準量の半分から三分の一程度に減らします。
最初の施用で難溶性化を進め、可給態化が始まったらそれを維持していくイメージで成否を考えます。
どこかで記事にしますが、だいたいどの植物も養分吸収量は窒素:リン酸:カリウム=5:1:4です。
リン酸は吸収量自体は少ないですが、この難溶性化がおこるので肥料に頼るような状況になります。
ありがとうございました。
窒素 プランター農業オリジナル培養土の中身とは12
これからは肥料の成分について書いていきます。
プロの農家でも眠たくなる内容です。
そもそも、肥料とは何か。人間でいうところの食事に相当します。
体を作るうえで外から摂らなければいけない栄養素になります。
その必要量から多量要素、微量要素に分かれます。
多量要素は、ご飯です。
微量要素は、野菜などに含まれるビタミンやミネラルになります。
多量要素には、窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、イオウです。
微量要素には、ほう素、鉄、マンガン、銅、亜鉛、モリブデン、コバルト、塩素です。
もう頭が痛くなってきますね。
一個ずつ片づけることにしましょう。
まず、窒素について
植物の生育に欠かせない重要な成分である。
植物に吸収された窒素は、主に細胞原形質内のたんぱく質や核酸、あるいは光合成に携わる葉緑体の一部となる。
要は、細胞の中身と緑色を作る成分であるということです。
光合成をつかさどる葉緑体の栄養素ということは、水と二酸化炭素から炭水化物(甘味やでんぷん)を作り出すことに関わるということです。
よって、植物の体を構成する重要な要素であり、人間が利用するエネルギー源である炭水化物を作り出すために必要な成分が窒素ということになります。
このことがわかると、欠乏症も過剰症もわかります。
葉の色です。
全体的に薄くなってくれば欠乏症、黒味を帯びるほど緑が濃くなれば過剰症です。
さて、ここからもうちょっと突っ込んだ話をしていきます。
窒素には3つの形態があります。
有機態窒素は堆肥や土の中の有機物に含まれるたんぱく質やアミノ酸になります。
バイオマス土の中に含まれる微生物の体の中に含まれる窒素です。
さらにアンモニア態窒素がアンモニア酸化細菌によって亜硝酸態窒素になり、亜硝酸化成細菌によって硝酸態窒素へ変わります。
ここで重要なことは微生物が植物の栄養を作ることに携わっているということだけ押さえておいてください。
有機態窒素を無機化することで植物が利用できる形になります。
そこで早く植物に吸収できるようになるようにする方法があります。
乾土効果
土をいったん乾かし、再度湿らせることで死滅した微生物からバイオマス窒素が放出され無機化され、植物に利用される。
温度上昇
温度を上昇させることで微生物の活動が活発となり、有機態窒素の無機化が高まる。
アルカリ効果
石灰などのアルカリ資材を投入するとpHが上がり、有機態窒素の一部が溶け出し、無機化が促進される。
雑な分け方になりますが、畑の植物は硝酸態窒素が好きです。
しかし、硝酸態窒素は水に溶けやすく雨に流されやすい性質があるので露地で使うには不向きです。
アンモニア態窒素は水によく溶けますが、土に吸着される性質があるので肥料として入れることに適しています。
硝酸態窒素が好きな畑の植物にアンモニア態窒素をやったらダメじゃないかと思いますよね。
そこで微生物に分解されて硝酸になるということを思い出してください。
アンモニアから硝酸へは徐々に変化していきます。
その間に植物が根を伸ばし吸収していけば無駄なく利用されることになります。
なので、市販の肥料には、有機態窒素もしくはアンモニア態窒素が主成分として入ります。
N:P:Kと表記されることの多い肥料ですが非常に奥の深いものになります。
理解が深まるといろいろなアプローチができるようになります。
私もこのようにまとめていてとても勉強になっています。
皆様とともにもっといい植物のある生活を目指していけたらなと思っています。
ありがとうございました。
病気?害虫?栄養不足?悩みませんか?
病気、害虫、栄養不足の簡単な見分け方を書いていきます。
注意ですが、正確な判別方法ではなく解決の糸口になるポイントの話です。
まず全体を見て、部分的な異常なのか、全体的な異常なのか、元気そうに見えるか見えないかをよく観察します。
病気
大きく分けて、糸状菌、細菌、ウイルス、ウイロイドがあります。
糸状菌 斑点や粉が噴いたようにになる、葉の部分的な変色など。変色する部分は葉脈(葉にあるすじ)内に限られることが多い。
細菌 お湯をかけたような湿り気を帯びた変色、萎れる、病気にかかった部分が悪臭を放つ。
ウイルス ウイロイド 葉の変色や異常に小枝が出るなど奇形が目立つ。葉の変色は葉脈(葉にあるすじ模様)を超えて変色がみられる。葉の中心に丸い変色部分が現れるなど。
害虫 葉に穴が空く。天芽の葉の奇形、花の奇形。葉がかすり模様のようになる。根元から噛み千切られる。
栄養不足 上記したものと違い全体的や高さで現れることが多い。全体的に葉の色が薄くなる。葉は緑なのに伸びない。葉先が茶色になる。植物の上のほうだけ色がおかしい。下だけ色がおかしい。葉の裏が変色している。
筆者が、お客様の植物を見させていただく時に考えていることです。
まだ植物に活力があり抵抗力があると判断した場合には、有用菌、木酢液、肥料を補って様子を見ます。
植物が弱り、みるみる枯れていくような状態であれば、部分的な土壌調査、土壌改良、有用菌、木酢液など活力剤、消毒。弱っているものをさらに弱らせないような管理をします。弱っている植物には肥料は与えません。風邪ひいてるときにステーキたっぷり食べろと言っているようなものなので。消毒の効果や弱りが回復してきたのを見計らってごく薄く(通常のの10%)程度肥料を入れて様子を見て増やしてを繰り返すようになります。
植物を見て何が原因か探ることは非常に難しいものです。
これがきっかけになればうれしいです。
ありがとうございました。