土壌のプロが教える!明日から使える豆知識

すべての庭木、野菜、花で困るあなたへ 岐阜県 中津川市で庭の維持管理、消毒を行っています。 都立農芸高校卒、東京農業大学生産環境化学研究室 (旧土壌学研究室)学士修了。農業や栽培の基礎を学ぶ。 その後種苗メーカーの農場職員として7年間、 庭師を約2年間修業し、独立し現在に至る。 4000万株以上の栽培経験、1000回以上の消毒経験・植物の生長調整、総合的な環境管理・除草剤や防草シートを用いた雑草管理・肥料や農薬を用いた栽培計画の作成・発生病害虫の特定、対策・庭木の剪定。 近年の新しい取り組みとして楽しみ

リン酸 プランター農業 オリジナル培養土の中身とは13 

今回は必須の元素であるリン酸をピックアップしていきます。

 

リン酸は、植物の細胞の中で遺伝子情報や細胞質内の水分調整、栄養素の貯蔵、エネルギーを作り出すためなどに利用される非常に重要な成分です。

窒素と同様に、有機態リン酸と無機態リン酸に分かれます。

有機態リン酸は、堆肥や有機物、微生物に含まれるリン酸です。

無機態リン酸は、有機態リン酸が分解されたり、化学肥料中に含まれるリン酸です。

無機態リン酸は、土の中に入るとその他の成分と結合し肥料としての効果がなくなってしまう難溶性リン酸と植物が利用できる可給態リン酸に分かれます。

植物を育てるには有機態リン酸と可給態リン酸を増やす必要があります。

可給態リン酸よりも圧倒的に難溶性リン酸になるもののほうが多くなります。

まず、化学肥料を使って難溶性リン酸になるものすべて結合させます。

すると、その後に出てくるリン酸は可給態リン酸になりやすくなります。

畑の最初のころはうまく出来ず、5年ほどすると植物が育っていくということをよく聞きます。

筆者は、このリン酸の可給態化が原因ではないかと考えています。(石灰もかかわっていますがここでは割愛します)

筆者の使い方

初めて畑にする現場では、リン酸を標準量の1.5倍から2倍程度施用し、作付けをします。

それでも足りない場合にはさらに増やしていきます。

ある程度育つようになったら今度は標準量の半分から三分の一程度に減らします。

最初の施用で難溶性化を進め、可給態化が始まったらそれを維持していくイメージで成否を考えます。

どこかで記事にしますが、だいたいどの植物も養分吸収量は窒素:リン酸:カリウム=5:1:4です。

リン酸は吸収量自体は少ないですが、この難溶性化がおこるので肥料に頼るような状況になります。

ありがとうございました。